リンパ節は全身にありますが、首やわきの下、鼠径部のリンパ節は皮膚の下に集まっています。さらに、このリンパ節が腫瘍や炎症によって腫れることをリンパ節腫脹といいます。

どこのリンパ節がはれているか、それに対して危険信号(腫れ方)は、それぞれ何の病気なのかを疑うことができます。

1.部位別のリンパ節の腫れ

部位別と鑑別疾患

前頚部(首の前):片側性…咽頭炎、口腔内感染症(虫歯など)、甲状腺がん/両側性…咽頭炎、伝染性単核球症、サルコイドーシス、トキソプラズマ症
後頚部(首の後ろ):HIV感染症、伝染性単核球症、結核
耳介前部(耳の前):結膜炎、風疹、レプトスピラ症
耳介後部(耳の後ろ):伝染性単核球症、風疹、中耳炎、リンパ腫
右鎖骨上部:肺・縦郭・食道などの悪性腫瘍
左鎖骨上部:胃・膵臓・腎臓・卵巣・前立腺などの悪性腫瘍
腋窩(わきの下):乳房悪性腫瘍、ネコひっかき病、ホジキンリンパ腫
鼠径部(股の付け根):梅毒、性器ヘルペス、蜂窩織炎など

2.悪性疾患の危険なサイン

精査が必要なリンパ節腫脹

1.40才以上
2.大きさが2cm以上で、徐々に大きくなってきている
3.10%以上の体重減少(3か月以内)
4.鎖骨上リンパ節
5.発熱、非常に多い寝汗などの全身症状

3.リンパ節腫脹の検査や治療

もう一つのキーポイントは多くの場合は偶発的にウイルスや細菌が入り込んだことが原因であることです。耳や口、鼻等に傷口や炎症がないことを確認した後、抗生剤での治療を開始します。多くの場合1-2週間で改善しますが、場合によっては血液検査・超音波検査を行います。

体の表面から見えないリンパ節に腫脹がないかを検査する場合やリンパ節の腫れが持続する場合はCT検査を行います。リンパ節の腫れの中には「がん」などの大きな病気が隠れていることがあるので、腫れがなくなるまで経過をみさせていただきます。

※ 治療の過程でさらに詳しい検査が必要と判断した場合は、連携病院や基幹病院を紹介することもあります。